将来なりたい職業を見つける前に 中学、高校で考えて欲しいこと

船津宏樹さんとドローン
船津宏樹(ふなつ ひろき)さん 1986年生まれ
株式会社センシンロボティクス 
ビジネス開発 カスタマーサクセス担当部長

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これからの時代、仕事で求められるものとは?

–小学生や中学生、高校生が、将来、仕事に就く頃には、仕事の種類や働き方が今とはずいぶん変わり、求められる能力も変わると言われています。ドローンというまさに新しい分野の仕事をしている船津さんが考える、これから仕事で求められるものは何だと思いますか?

「こういう世の中になってほしい」というイメージです。新しいものを生み出していく仕事をする上で一番大切だと思います。

そして、アイディアを思いつく人は多いんですが、そこから実際に動いていける人は意外に少ないと感じます。

実際、弊社もドローンをサービスにすると考えた時、いち早く現場に出て、企業の方に実際に使っていただくことで、現在のようなサービスにすることができたんです。弊社と同じようにウェブ会議のシステムとドローンとの組み合わせに注目していたけれど、踏み切れなかった会社もあるようです。

先ほど、イメージしたことを実現していく力が重要だと言いましたが、 “これが来る”と思ったら行動に移せることも重要です。その行動力というのは、僕の場合、大学の部活動で培われたことはまちがいありません。

水泳で記録を伸ばすことにつながることがあったら、「まずやってみろ」というのが教えでした。「頭で考えるより、行動してみろ」と。それが今、生きています。

–思いついても行動できないという人は何が足りないのでしょうか?

リスクがあるということに気づいてしまい、そこを取っ払えないからかなと。僕は逆にそこが足りなくて、いいイメージしかないまま動き出してしまい、ダメだった時に初めて「あっ、こういうリスクがあったか!」って気づくことが多いんですが(笑)。

でも、弊社は「考えながら、同時に動いてみよう」という社風なので、代表も「どんなこともある程度、やってみなきゃ分からないのだから、どんどん失敗していいよ」と言ってくれます。「死ぬこと以外はかすり傷」(箕輪厚介氏の著書のタイトル)じゃないですけど(笑)、「たいていのことでは死なないから大丈夫だよ」という言葉のおかげでのびのび仕事ができています。

–やはり、お仕事をしている中で、社会の変化のスピードみたいなものも感じますか?

それはすごく感じますし、スピードがどんどん速くなっています。

そして、僕らもドローンがもっと使いやすくなるように、規制を行っている各省庁に提案する仕事もしています。世の中を変えていくような活動ができるのも楽しいです。

ドローンの仕事をするなんて考えてもいなかった

–ドローンという新しいジャンルの仕事をしている船津さんが、ますます変化していく社会を生きる中学生、高校生に伝えたいことは?

僕の場合、いざ教師をめざすのをやめて自分に何ができるかなと考えた時、初めて「もっと自分が全然知らない仕事もあるんじゃないか」と、初めて色々なものを見るようになったんです。

後悔はないですが、もっと高校生の時ぐらいから色々なものを見たり、考えたりしておけば、もっと広い視野で仕事について考えることができたと思いますし、早く自分が進むべき道が決まっていれば、もっと周辺のことを学んでから仕事を始められたとは思います。

–具体的には中学、高校時代をどんなふうに過ごせばいいと思いますか?

これからは「何になりたいか」よりも、自分は「何が好きか」「仕事をして、どんな生活がしたいか」をイメージしておくことが大切だと思います。

そして、その“好き”の先に、それならこういう仕事がある、というふうに考えていけばいいのではないかと。

実は僕もずっと警察官や学校の先生など、職業のイメージでしか将来を考えていなかったんです。

でも、例えばパソコンが好きというと、ハードを作る仕事が思い浮かびますが、実際はウェブに関係する仕事をはじめ、パソコンを活かせる仕事はたくさんあります。

当然、「人気の職業ランキング」にあるような仕事ではなくて、今は知られていない職業も出てきます。

自分もドローンの仕事をするとは大学の時でも考えていなかったですから。でも考えてみると昔から空や海が好きだったし、何よりも新しい技術やハードが好きで、人と接するのも好きだったんです。

本当は大学より早い段階、高校の頃からインターンなどが経験できたり、キャリアカウンセリングを受けられたりしたら、もっと将来について考えを深めることができると思います。

これからの時代に会社を選ぶ基準

–そうやって新しい職業に就きたい、まだ知られていない会社に入りたいと子どもが考えた時、親の側に知識がなく、心配したり、反対するケースも多いと聞きます。船津さんの場合はどうでしたか?

社名も知らなかったと思いますが、うちの親は面白そうだからいいんじゃない?という感じでしたね。

大手でも事業がなくなってしまう時代なので、調べてもいい会社か、将来性があるかなんて分からないと思うんです。僕は社会への貢献度が高いかどうかで判断するのがいいのではないかと思います。

ドローンで言えば、自分が考えたものが社会にインパクトを与えられて、使っている方からは「本当に助かっている」と言っていただける仕事なので、やりがいが大きいです。何より楽しいので、お子さんがやっていきたいという思いがあるなら、背中を押してあげてほしいですね。

–では最後に今後、ドローンの世界に入ってくるかもしれない、中学生や高校生にメッセージをお願いします。

これまではドローンの実証実験が多かったのですが、いよいよ実際に運用していただく段階に入りました。

今後は鉄道や橋梁、電力会社の発電所や送電設備などの点検や警備、災害対策に、ドローンが活用されるのが当たり前になり、今後は色々な会社にドローン担当者がいる世の中になっていきます。

ただ、ドローンはあくまでも単なるツールです。今後はドローンで撮った映像やデータをどう活用するか考えて、「こういうことをやりたい」と新しい提案ができる人にこの業界に入ってきてもらいたいですね。

ドローン
オフィスに展示されていたドローン。船津さんはプライベートの旅行などでもドローンを使って撮影を楽しんでいるそうです。

撮影:都築正知

[センシンロボティクスのサイト]

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