体育大学からベンチャー企業へ

船津さんってこんな人!

・1歳から水泳を始め、推薦で日本体育大学に入学。

・大学卒業後、2009年にベンチャー企業である株式会社ブイキューブに入社。会社が始めたドローンビジネスにスタート時から関わる。

・2015年に同社が設立したブイキューブロボティクス・ジャパンの取締役に就任。2016年に同社に転籍(のちにセンシンロボティクスに社名変更)。

・現在は営業や顧客サービスに関わっている。無人航空従事者1級資格を持つ。

船津宏樹さんとドローン
船津宏樹(ふなつ ひろき)さん 1986年生まれ
株式会社センシンロボティクス 
ビジネス開発 カスタマーサクセス担当部長 

教育実習で、教師に向いていないと気づいた

–日体大(日本体育大)出身ということですが、体育大に進んだ理由は何だったのでしょうか?

日体大を選んだ理由は2つありました。まず、水泳でオリンピックをめざしていたことです。水泳というのは20歳前後に一番いい記録が出ることが多いので、3年後の北京オリンピックに向けて、大学で実技だけでなく、知識も含めて専門的に学んだ方がいいと考えました。入学したのが、金メダリストの北島康介さんが日体大を卒業された年でした。

そして、将来は水泳をはじめ、運動が得意なことを活かして、高校の体育の教師になりたいと思っていました。それで教職課程のある日体大を選んだんです。

–そこから一般企業に新卒で入社したのはなぜだったのでしょうか?

大学では記録が伸びず、オリンピックはすっぱりあきらめました。それで、4年の時は教育実習もやったのですが、そこで自分は指導者にはなれないと気づいてしまったんです。

ちょうど、教育実習が体育祭の時期で、先生方は「生徒たちが頑張っている姿を見たり、できなかった子ができるようになったりすることに一番幸せを感じる」というお話をされていました。

もちろん、共感できないわけではなかったのですが、自分は教えるだけでは物足りない、プレーヤーとなって活躍したいタイプだなと。

どうせやるなら自分のよさが活かせて、自分の力で世の中を変えられる仕事がしたい。それなら企業に勤めた方が合っていると思いました。

大学4年の秋に就職活動をスタート

–そこから就職活動を始めたんですね。

もう秋になっていたので、体育大の学生専門の就活サポートを行っている会社を利用しました。そこで、適性検査を受けて、人と触れ合う営業職やウエディングプランナーに向いていると診断されたんです。

そして、“あなたに合う会社”として名前が挙がったのが、現在の会社の前身となるベンチャー企業のブイキューブでした。

説明会で当時、代表だった間下(現・センシンロボティクス会長)の話に感銘を受けて、ここの会社で働いたら面白そうだと思ったんです。

教育実習と並行して面接を受け、内定をいただき、実習後はインターンとして働いてから入社しました。

–他の会社とそんなに違いがあったのでしょうか?

僕が説明会に参加した頃のブイキューブは、ウェブで会議を行うシステムを普及させようとしていました。

2009年当時、多くの人がSkypeを知っているか知らないかという時代に、新しいシステムで、働き方、さらには世の中を変えていくんだという思いを持っていて、とてもインパクトがありました。

イベント企画やウエディングプランナーの会社も見ましたが、なんとなく自分が働いている姿がイメージできました。

でも、ブイキューブは全く未知で、今まで自分が培ってきた力が活かせないだけに、あえてそこにチャレンジしたいと思いました。新しいモノやサービスも好きなので、単純に営業ではなく、全く新しい、世の中にないものを扱うことにも魅かれました。

自分から手を挙げてドローンの事業に参加

–入社してみていかがでしたか?

2008年にインターン開始時は、営業を担当しました。入社したのはブイキューブがベンチャーとして10年目の時期で、仕事は現場に出て覚えろという考え方でした。

大学では他の学部に比べ、論文を書く機会がそれほどなく、パソコンはプライベートで使う程度だったため、タイピングも遅いし、ビジネスで使うソフトも使いこなせなかったんです。だから、最初は資料作りに苦労しました。

でも、体育大出身ということで苦労したのはそれぐらいです。

当時は会社が営業の体制を作る時期でもあったので、入社後まもなく営業がお客様の所でどういう説明をするかというコンテストがあり、年の近い先輩や同期と準備をしました。

そうやって入社後すぐにそういう機会があったので、社会人になっても勉強する習性が身に付いたのは良かったです。

–そこから現在のドローンを扱う事業を担当することになった経緯は?

入社後、東京で営業を担当して、チームリーダーとしてマネジメントを経験しました。入社から4年後、大阪営業所立ち上げと同時に責任者として赴任し、メンバー7人のマネジメントをする立場になりました。

ドローンについては元々、iPadなどの新しいガジェットが好きで、個人的に「次はドローンがくるんじゃないか」と思っていたんです。

さらにこれまでの事業にドローンを組み合わせるという構想に、初めから携わっていました。以前から代表と社内の数人で「ウェブ会議のシステムにドローンを使えば、遠隔地の映像をリアルタイムに配信できるのではないか」という話はしていました。

そんな時にマネージャーの会議で「ドローンの事業をやってみたい人はいないか?」という話があって、手を挙げました。そこから社内プロジェクトからスタートして、新しい会社として設立し、のちに社名変更をしたのが今の会社です。

入社から10年。会社説明会の時の印象と変わらない

–手を挙げれば若手が仕事を任せてもらえるのはベンチャーならではですね。

そうですね。ベンチャーでは常に前例がないこと、形がないことに取り組むので、業務フローを考えるところから始めなければいけない大変さはありますが、新しいことも手を挙げればやらせてもらえるのは魅力です。

大きな企業とは色々なことのプロセスが違います。意思決定のスピードも早く、いいと思ったら即決してもらえるので、例えば人を採用する時も求人を出してから入社までがすごく早いです。

入社して10年経ちますが、新規に立ち上げた会社に転籍したこともあり、「新しいことがやりたいな」と思うタイミングで、新規プロジェクトなどに関わることができているので、仕事に飽きたり、会社を辞めたいと思ったりすることはないですね。

会社説明会の時に感じたインパクト通りの会社(現在は別会社ですが)で、本当に仕事が楽しいです。

船津宏樹さん
今回、取材を依頼してから実現するまでのスピード感もベンチャーならではだと感じました。

撮影:都築正知

インタビュー2

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