【前編】エステティシャンになると決めた2つのきっかけ

小林沙緒さんとサロン店内
[小林さんってこんな人!]

・中学時代にエステティシャンという職業を知り、興味を持つ。。
・たかの友梨ビューティクリニック専門学校卒業後、エステサロンに勤務。2015年全国セラピストコンテストで金賞受賞。
・30代で独立。2020年、茨城県つくば市に「immune+(イミューンプラス)」を開業。

事故に遭い、1年半寝たきりの生活に

-大手エステティックサロンを経て独立されたと聞きました。エステの仕事を選んだきっかけは?

エステティックという言葉を知ったのは中学生の時でした。フジテレビの「ビューティー・コロシアム」という番組が好きで、よく見ていたんです。プロの力を借りてきれいになったことで、人生まで変わっていく。その変化を追ったバラエティー番組です。

私も小学校の頃、結構太っていて、小学校高学年でバスケを始めてから徐々に痩せていった経験があります。確かに痩せると体が軽くなって意識も変わっていくということを実感したので、とても共感できました。

その番組ではきれいになるための手段の1つがエステでした。お客さまをきれいにするだけでなく、人生まで変えられる仕事っていいな、と思ったのが、エステティシャンに興味を持ったきっかけです。その後、スクールに通うことになる「たかの友梨ビューティクリニック」の存在を知ったのもこの番組でした。

-実際にエステティシャンを目指すことを決めた理由はありますか?

高校卒業後、車で信号待ちをしていた時に追突事故に遭い、起き上がれなくて救急車で運ばれたんです。大事故ではなかったものの、下半身が動かなくなってしまい、半月ぐらい入院しました。

体が動かない原因は分かりませんでした。外傷もなく、レントゲンには何も映らないんです。医師の説明では、いきなり追突されたショックが大きく、人間の生命機能として体の動きをストップさせている可能性があるということでした。

リハビリをして歩けるようにはなったものの、そこからがもっと大変でした。ひどい頭痛が始まり、食べると気持ち悪くなって吐いてしまう。光や音、いろいろなものにも過敏になってしまったことから完全に昼夜逆転になり、1年半近く家で寝たきりの生活でした。

よいといわれる病院があれば、すぐに行ってみました。有名な病院にはほとんど行ったと思います。整骨院なども行きましたが、結局、原因がわからないままで、絶望的な気持ちになったんです。このまま一生、このまま治らないのかなと。

でも、触診で患者さんを診ている鍼灸の先生を紹介していただき、その治療で初めて症状がよくなったんです。その先生は薬や特別な機器を使うわけではなく、体をさすったりして血流の滞りを流していくだけなのですが、「滞っている血流をよくすることで、こんなにも体が変わるものなのか」という衝撃がありました。

一時は「私の人生終わったな」とまで思っていたのですが、事故から2年後に普通の生活に戻ることができました。笑顔を取り戻すことができたのは、頭痛やそれに付随するだるさがなくなったこともありますが、何よりも原因が分からない不安がなくなったことが大きかったですね。

この経験と、中学生の時に「ビューティー・コロシアム」を見ていた時の感動がつながって、女性を笑顔にできる、人生を変えられるような仕事をしたい。エステの道に行こうと決めました。

大手サロンの仕事が楽しかった理由

-その時、鍼灸のような東洋医学にいこうとは思わなかったのですか?

体質の改善だけでなく、きれいになる、女性を輝かせるという面でもサポートしたいなと思ったので、エステを選びました。

日本だと、エステは「贅沢な美容」というイメージがあるかもしれません。でも、そもそもエステというのは、体内の余分なものを排出することで体を正常な状態に整え、機能を向上させるという考え方に基づくものなんですね。発祥の地・フランスでは民間医療として扱われていて、保険が適用されるものもあります。そういう奥深さにも魅かれました。

―たかの友梨が運営する専門学校を選んだのはなぜですか?

「ビューティー・コロシアム」で名前を知っていたこともありますが、「代替医療としてのエステ」を提唱していたことが大きかったです。最近はそうした会社も増えましたが、当時は珍しかったんです。

私が入学した当時は半年間の基礎コースを終えると、そのままたかの友梨に入社して働きながら学べるシステムでした。エステをはじめ、美容の世界は日々、進化しています。入社後は学ぶことがとにかく多かったですが、たかの友梨は会社の規模が大きいだけにどんどん新しい情報が入ってくるので勉強がすごく楽しかったですね。都内の店舗や茨城県内の店舗など、合わせて10年近く勤めました。

-大手サロンから退職後、2020年にご自身のサロンをオープンされました。独立は以前から考えていたのでしょうか?

独立願望は全くなかったんです。自分でサロンをやるなんて大変に違いないと。常に新しい情報にふれることができる大手のサロンは、好奇心旺盛な私にはとても合っているとも思っていたし、さまざまな経験もさせていただきました。

でも、長年続けていく中で役職なども付き、会社から学べる喜びよりも体力的な不安の方が大きくなっていきました。そして体力面を考えた時、もし挑戦するなら30代の今だなと。会社での仕事は十分にやり切ったと思えた時、新しいことをやってみたいと思ったんです。地元・龍ケ崎市のビジネスプランコンテストで優秀賞を受賞できたことも後押しとなりました。

エステサロンを病院や整体と並ぶ選択肢の1つに

-2020年にオープンしたサロン「immune+(イミューンプラス)」。印象的な店名に込めた思いは?

イミューンは「免疫」という意味です。エステティックで「トリートメント」という用語は、手を使い、肌に直接ふれてマッサージすることで肌や体をケアする施術を指します。私はこの「肌にふれる」という行為が特に大切だと考えています。

どこか痛い時、無意識にその部分に手を当てますよね。それが「手当て」という言葉の語源だと言われていて、エステティックトリートメントの考え方もそこから来ています。

エステティックトリートメントによって血流を促進して自己免疫力を高めていくことによって、体の内側から不調を改善し、お客さま本来の美しさを取り戻していく。そのお手伝いをするのが本来のエステティシャンの役割だというのが私の考えで、「immune+」にはそんな思いが込められています。

例えば胃が痛い時、原因は必ずしも胃にあるとは限りません。他の臓器やストレス、冷え、むくみなどが原因ということもあります。体はつながっている、そして心と体もつながっているという考え方のもと、トータルにケアできるのが本来のエステティックです。

日本では美容のイメージが強いエステですが、ヨーロッパでは肌にふれる、リンパを流す(リンパ液に溜まった老廃物を排出する)というエステの施術は、心身をリラックスさせ、体の循環を高めると考えられています。

エステティシャンは国家資格であり、施術を受けられる施設が病院に併設されていることもあります。アジアでもタイなどでは病院の隣にセラピーセンターがあり、医師とセラピストが連携している施設もある。例えばぎっくり腰もマッサージで治すと聞いたことがあります。

私自身、事故に遭った後、病院に行っても原因が分からなかったのに、血流をよくすることで体調がよくなりました。私のように、体の外側から治療してもうまくいかなかった人に、トリートメントという選択肢があることを知ってもらいたいと思っています。

-事故の経験が活きているんですね。

「immune+」は1人のお客さまに1対1でじっくり向き合えるプライベートサロンです。そして、自分の知識や経験をベースに、お客さまの体や皮膚に最も適したオイルやクリームなどの化粧品、そして施術方法をたくさんの中から選んでいく、エステ本来の姿に近づけていきたいと考えています。

使用するオイルやクリームを特定のブランドに固定しているエステは多いですが、世界中のさまざまなトリートメントを勉強してきたからこそ、どれか1つに絞りたくないなと。もちろん、使える数には限りがあるので、今は中医学(中国から伝わった医学)をベースにしたいと考えているんです。中医学は体全体のバランスを見て不調を整えるという考えに基づいていて、漢方などもその1つです。

お客さまにカウンセリングを行うスペース

エステティシャンになるには高卒、大卒どちらがよい? に続く

【小林さんのサロン immune +(イミューンプラス)のサイト】

immune+
immune+は、お一人お一人に寄り添ったトリートメントをご提供致します。

【Instagram】

https://www.instagram.com/immune.plus
タイトルとURLをコピーしました