40代で初めて大学に入学。勉強とは違う“学び”の楽しさを実感

三輪陽子さん(みわようこさん) 1963年生まれ
公認心理師
NPO法人こころサポート所属
一般社団法人メンタルヘルス協会 上級カウンセラー 認定心理士
三輪さんってこんな人!

・高校卒業後、日本航空の客室乗務員に。
・専業主婦だった40代の時、心理学を学ぶため、放送大学に入学。
・現在は心理カウンセラーとしてカウンセリングをはじめ、様々な活動を行っている。2019年公認心理師試験合格。
・2014年よりメンタルサポート研究所「心理カウンセリング力(りょく) 養成基礎講座」を地元・千葉県佐倉市で主催。

親への反発から、自力で大学に行くと宣言

–高校卒業後に国際線の客室乗務員(CA)として日本航空に入社されたそうですね。

私が受験した時は短大卒業程度の学力あること、というのが条件で、1次試験が年に何回か行われたんです。これは私が入社した年とその翌年だけの試みでした。
(現在、日本航空の応募資格は「専門学校・短期大学・高等専門学校・4年制大学または大学院(修士課程)を卒業見込みの方」となっている)

–元々、客室乗務員になりたかったのですか?

それが全く考えていなかったんです。出身は愛媛で、高校生の時は大学で好きな英語を勉強したいと思っていました。

高校は進学校で大学に行くのが当たり前という環境でしたが、とても堅い家で県外に出したくない、そもそも女の子は大学なんて行かなくていい、という方針でした。

地元の大学には行きたい学科がなく、親への反発もあって「それなら働いてお金を貯めて、自分の力で大学に行く」と高3の秋に宣言しました。高校の先生にはかなり心配されましたね。

そんな時に近所の人が日本航空の募集を「陽子ちゃん、背が高いから受けてみたらいいよ」と教えてくれたん です(笑)。海外に興味があったので、軽い気持ちで受験したら合格して。高校卒業後の10月に中途で入社し ました。

コンプレックスだらけだった客室乗務員時代

–入社してみてどうでしたか?

会社には転職してきた人も多く、さらにその後に入社してきた後輩も年上ばかり。ずっと自分が一番年下だったこともあり、常にまわりが大人っぽく見えたし、実際、知識の差も歴然としていまし た。

それまで英語には自信があったのですが、大学で勉強したり、留学したりした人の英語とは全然違う。自分には何かが足りないという思いが常にあって、コンプレックスだらけでした。

もちろん英会話を習ったり、一生懸命新聞を読んでみたりしたけれど、本当に必要なのは教養であって暗記するような勉強じゃないんですよね。

–客室乗務員というと華やかで、仕事もプライベートも刺激があるイメージがありますが…。

それこそ日経新聞の「私の履歴書」に出てくるような著名な経営者にサービスする機会もありましたが、会話ができるようなベースがなかった。今ならもっと深みのあるサービスができたと思いますが、あの頃の仕事ぶ りを思い出すと本当に恥ずかしいです。

フライト先での自由時間もたくさんあった時代でしたが、例えば美術館も「有名だから見ておくか」ぐらいの感覚で、本当にもったいなかったと思います。

–その頃も大学で英語を学ぶという気持ちは持ち続けていたんですか?

すっかり忘れていました。当時の私には大学=あくまでも就職をするための手段で、勉強する場所なのに楽しく遊んでいる人が多い、というイメージが強かったんです。しかも、社内には名だたる企業を辞めてまで転職してきた人がたくさんいたので、せっかくそんな会社に就職できたのだから、あえて大学に行く必要はないという気持ちになってしまって。

だからといって客室乗務員が自分の一生の仕事とは思えない、でも、他に何もできることがない、と思いながら続けていました。その後、結婚して国内線勤務になり、妊娠をきっかけに退職しましたが、仕事には見事なほど未練がなかったですね。

専業主婦から心理カウンセラーに

–そこから40代になって大学に入学したきっかけは何だったのでしょうか? 

心理カウンセラーという仕事に出会ったからです。

ずっと体を動かすことが大好きで、テニスもやっていたし、2人の息子たちと一緒にサッカーができるぐらい元気でした。でも股関節を痛めて全く運動ができなくなってしまったんです。

突然ヒマになったので、当時流行っていたブログを始めたのですが、 そこでできたブログ仲間が心理カウンセラーだったことから、まずその仕事に興味を持ちました。それが後にカウンセリングを学んだ丹野ゆき先生です。

そこから先生がいるメンタルサポート研究所で、「インナーチェンジングセラピー」というカウンセリングの技法を学び始めました。

それまでずっと専業主婦で仕事をしたいと思ったこともなかったのですが、初めてこの仕事がしたい、心理カウンセラーになりたいと思ったんです。

–それほど心理カウンセラーにひかれたのは、何か理由があったのですか?

私には心の問題はないし、これまでもきちんと乗り越えてきた、と思っていました。でも心理学を学んでいくうちに、自分にも抱えている色々な問題や押さえ込んでいた感情があると気づいたんです。ひかれるべくしてひ かれたのかなと今では思います。

私が学んだ頃は心理カウンセラー に資格は必要ありませんでした。だから大学で勉強する必要はなかったのですが、私の中では知識と経験を備えた「職人」というイメージがあったので、大学でもしっかり学んでおきたいと思ったんです。

心理学を究めたかったから、4年間学ぶのが全く大変だとは思わなかったです。

それに日本は資格を重視する社会だから、今後、国家資格ができた時には「大卒以上」などの条件がつくかもしれないという考えもありました。その予想は当たって、2018年から日本でも初めて心理職の国家資格「公認心理師」の試験がスタートしたんです。

費用で進学をあきらめるなら、放送大学は選択肢の1つ

–放送大学を選んだ理由は?

やはりすぐに入学できるのが魅力だったし、色々な授業科目があってシラバス(講義内容)を読むだけでも楽しかった。18歳の時だったら興味を持てなかった授業も、子育てなどを経験した40代になると聴いてみたいものばかりでした。

–放送大学はまわりも同じように社会人が多いんですか?

私も入学前はそういうイメージだったのですが、10代の学生もいました。社会に出てから改めて学ぶ場としてだけでなく、社会に出るための大学としても機能しているということを初めて知りました。

講師陣も有名大学で教えていた方やその世界で業績のある方で、もし、費用の面だけで大学をあきらめているなら、こういう選択肢もあるということは伝えたいですね。

自分がやりたい勉強だからこそ身が入る

–では実際に大学に通ってみていかがでしたか?

一番感じたのは同じ“学ぶ”でも、人から学ぶのはこんなに面白いのかということです。先生の学問への思いや人生まで垣間見えるから、余計に深みが増すんですね。

先生方も本当に楽しそうに話していて、授業も活気がありました。例えばスペイン語の先生はスペインが好きで仕方ないという感じで、聴いている私まで行きたくなってしまったぐらい。若い時だったら「この先生、ちょっと熱すぎる」と引いてしまったかもしれませんが、本当に楽しかった。

やっぱり自分がやりたくてやる勉強だからこそ身が入るんですよね。授業はいつも前の席でしっかり聴いてい ました。

5年間通いましたが、知りたい知識を増やすって本当に面白いし、これが本当の意味で「学ぶ」ということなんだと実感しました。

私の場合、実践から入り、大学で理論を学ぶことになり、通常とは順番が逆でしたが、実践が理論で裏付けされて、ものすごく納得できたのもよかったです。理論、実践、どちらが先でもいいんだというのも発見でしたね。

「学び」は仕方なくやる勉強とは全く違うもの

–40代になって大学で学んだわけですが、その経験から中学生、高校生に伝えたいことは?

多くの子にとって勉強はイヤなものだと思うんです。でも「しなきゃいけない」という気持ちでやる「勉強」と、知りたいという欲求に従ってやる「学び」は全く違うものだということは知ってほしいですね。

学びによって知識が増えていくことや、知りたかったことが分かった時の喜びは人生を本当に豊かにしてくれます。これは心理学を学んでみて気づいたことです。

でも、小中学生、高校生の時は何が学びたいかなんてはっきりしない場合が多いですよね?そう考えると、何かと嫌われ者の受験勉強も、将来的な「学び」のきっかけになるかもしれない。もし、やりたいことが見つからないのなら、先入観で決めつけずに何かに取り組んでみることにも価値があると思います。

–三輪さんの場合、心理学を学んでからどう変わったのでしょう?

放送大学卒業前から地域のミニ講座などで講師を務めたりして、徐々に活動の場を広げていきました。今は心理カウンセラーとしてカウンセリングを行ったり、生活の中でのコミュニケーションに役立つ心理学の講座を開催したりしています。

私自身、心理学を学んですごくラクになったんですね。自信がないことがばれないように武装していましたが、そんな過去の自分をしっかり認めた上で変わることができたんです。

だから、カウンセリングや講座を通して出会う人にも「今はつらくても大丈夫だよ」と伝えていきたいですし、実際、一時期は死を考えていたような方がもう一度、前を向く姿に私自身も元気づけられています。

人が自ら変わろうとする姿は言葉にできない感動がありますね。やっぱり人が好きだし、今はこれが一生の仕事だと思っています。

三輪さんのホームページ

心を楽にしませんか?
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三輪さんが主催している
メンタルサポート研究所「心理カウンセリング力(りょく) 養成基礎講座」の概要

ページが見つかりませんでした – オンラインカウンセリングによるメンタルヘルスケア | メンタルサポート研究所コミュニティ

この講座を修了すると、一般社団法人メンタルヘルス協会のカウンセラー初級を取得できる。

三輪さんが主催する「佐倉教室」では、現職のカウンセラー、介護職従事者、看護師、コーチ、カフェオーナー、主婦など、様々な人が受講している。

三輪さんが心理学を学んだメンタルサポート研究所

http://www.mentalsupport.co.jp
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