[専門家に聞く]心理カウンセラーが進路に悩む子どもや親に伝えたいこと

中学生、高校生の時は、そもそも心が不安定になりやすい時期。
進路を選択するという大きな決断を前に、戸惑ったり、悩んだりするのは当然のことです。
そんなわが子を間近で見守る親も悩みはつきません。
そこで、インタビューにもご登場いただいた心理カウンセラーの三輪陽子さんに、
心理学の視点から、進路を選ぶ人やそれを見守る親へのアドバイスをいただきました。

心理カウンセラー三輪陽子さん
三輪陽子さん(みわようこさん) 1963年生まれ
公認心理師
NPO法人こころサポート所属
一般社団法人メンタルヘルス協会 上級カウンセラー 認定心理士

悩んだり、失敗したりして、
自分で進路を選択することが何よりも大切。
親は信じて見守ってほしい

大学に受かっても自分の価値が上がるわけではない

–このサイトは大学に行くべきか?がメインテーマですが、進路を選ぶ時期や受験期などの中学生や高校生を見ていて、心理カウンセラーとして伝えたいのはどんなことですか?

まず、大学に受かったりした時、なんだか自分の価値が上がった気がするかもしれないけれど、実際は受かったという事実があるのみなんです。その人の価値というのは生まれた時から上がりもしないし、下がりもしない。通っている学校や会社に関係なく、みんな同じようにあるということは覚えておいて欲しいです。

そして、進路をはじめ、いろいろなことに悩んでいる時、1カ月、2カ月単位では解決しないかもしれませんが、焦らないでほしいということは伝えたいですね。

悩んでいる時は大丈夫と思えないかもしれませんが、カウンセラーとして「あんなに苦しんでいたけれど、今はいきいきと働いている」という例をたくさん知っています。

2人の息子も本当に心配した時期がありましたが、31歳と28歳になった今はそれぞれの道を歩んでいます。

また、例えば自分が選んだ学校などが合わなかったとしたら辞めてもいいと思うんです。合わない環境から抜け出すことは自分を守ることで、逃げることにはなりません。

子どもの内側から気持ちがわき上がることが大切

–悩みを抱えるお子さんの保護者から相談を受ける機会も多いと思います。

親は大学に行ってほしいと思っていたのに、子どもに「行かない」「受験しない」と言われたら、簡単には 「分かった」とは言えないと思います。

それが大学ではなく、中学、高校に行かないとか辞めたいと言われたら、なおさら戸惑ってしまう親がほとんどでしょう。

でも、そういう状態の子どもに、いくら親が「行った方がいいよ」「今の時期に勉強するべき」と言っても、簡単には受け入れられないでしょう。外から頑張れと言われるより、子ども自身の内側から大丈夫だ、頑張ろうという気持ちがわき上がることが大切なんです。

そのために自分は大丈夫、愛されているという感覚がベースになって、自己効力感や自尊感情が育っていれば本当に必要な時に頑張りがきくと思います。

–親は子どもが悩んだり、迷ったりしていても、自分で進路を決めるのを見守るしかないということでしょうか?

そうですね。そもそも人が成長していく上で、悩んだり、失敗したりするのはとても大切なことなんです。よく反抗期と受験期が重なって大変という悩みを聞きますが、反抗もとことんしたらエネルギーになります。

子どもが悩んでいる時、親は「どうしたら悩まないようにできるか」と考えがちですが、本当は「そうか、つらいんだね」と共感したり、「大丈夫。何とかなるよ」「急がなくて大丈夫だよ」と寄り添ってあげるだけでいいんです。

これは一見、何もしていないように感じてしまうかもしれませんが、自分のつらさを分かってくれて、味方になってくれることで子どもは安心して悩むことができるはずです。そして、そんな親の存在が子どもの力になって、一歩を踏み出すことができるのです。

心から受け入れた生き方でなければ、生きづらくなってしまう

–親は自分の意見を言わない方がいいのですか?

そんなことはありません。子どもを言いくるめようとか、親が望む方向に向かせようとするためではなく、これは言っておきたいと本気で思うことは伝えて大丈夫です。

その時、大切なのは「伝える」に徹すること。頭ごなしに言うのではなく、「自分はこう思うよ」と意見を交わすつもりで伝えることが大事だと思います。「私は」「お母さんは」など、自分を主語にするといいですね。

子どもが悩み、考えた結果、多くの人が選ばない道を選んだとしてもすばらしいこと。自分で選択できたということが何よりも貴いんです。だから、親は「決めるのはあなた自身だよ」という姿勢でいてほしいですね。

–なぜ、そこまで自分で選択するということが大事なのでしょうか?

自分が選び、心から受け入れた生き方でなければ、結局、どこかで生きづらくなってしまうことが多いからです。そして、失敗した時に人のせいにしてしまう可能性もあります。

でも、自分で選んだことなら、失敗しても受け入れやすいし、また前を向いていけます。

現代は世界が複雑すぎるので、モラトリアム(社会に出る前の猶予)の時期が長くなるせいか、心理学の世界では30歳が成人といわれています。

だから、15歳、18歳で進路を決められなくても心配する必要はありません。

もし、中学、高校、大学のようないわゆる一般的なルートで進めなかったとしても、例えば私が通った放送大学や大検をはじめ、選択肢はたくさんあるということも知っておいてほしいと思います。

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