「学歴フィルター」を読んで子どもに伝えたいと思ったこと

スポンサーリンク

読んで分かった学歴差別の実情

“とりあえず”大学に行った方がいい、しかも、よりレベルの高い大学に行きたい、行かせたいと考える大きな理由は、やはり就職活動で有利だからでしょう。

大学に行くべきか?学歴とは?というテーマを考える上で外せないテーマだと感じ、2018年出版の「学歴フィルター」(小学館親書)を読みました。著者の福島直樹さんは、就職コンサルタントとして就活生の支援を行っている方です。

ちなみに学歴フィルターとは、新卒採用の際、ウェブでの会社説明会などの申し込み時に、主に大学名でフィルターをかけること。上位大学を優遇し、中堅大学、それより偏差値が下位の大学(本では低選抜大学としている)をふるいにかける仕組みです。単に学校のランクによる差別をこう呼ぶこともあるそうです。

著者の福島さんは、就職支援を行う中堅大学、低選別大学には経済的に豊かとはいえない学生も多く、そんな彼らが学歴フィルターで排除される現状に疑問を感じたことが、この本を書いた動機だとしています。

本の主な内容は

■学歴フィルターの実態

・そもそも上位大学、中堅大学、低選抜大学とは?

・こんな場面で、このように使われている。

・大手に限らず、大手企業の子会社でも導入されている。

■上位大学とそうでない大学の学生の違い

・企業が学歴を重視するのには根拠がある。

・入社試験や面接にも学歴の差は表れる。

■学歴フィルターを乗り越えるための提案

・学歴と家庭の経済状況は無関係ではない。

・ふるいにかけられる側の学生が人気企業に合格するための方法

決して学歴フィルターを批判したり、上位大学に通っていない学生を脅したりするだけの内容ではなく、上位大学に通っていない学生が大手企業に合格するためにはどうすればいいか、今後、企業の採用はどう変わるべきかについての改革案も書かれています。

勉強ができる=仕事ができる?

本を読んで一番驚いたのは、企業側もこれまでに採用した社員の人事評価、仕事ぶり、離職率など、根拠があって大学名を設定しているということでした。

また、勉強ができる人=仕事ができる人とは限らないとよく言われますが、入社試験の際、仕事に必要とされる能力が高い、優秀と感じる学生の割合は上位大学ほど高いのだそうです。本にはその違いも具体的な例で書かれていて、「確かにこっちの学生を採りたいよね」と納得しました。

もちろん、中堅大学、低選別大学に通う学生にも優秀な学生はいますが、効率を考えて学歴フィルターを導入してしまうというのが実情だというわけです。

学歴フィルターがある世の中をどう生き抜くべき?

改めてこうした内容を知ると、新卒一括採用のルールは今後、変化していくものの、しばらくは学歴フィルターがなくなることはないだろうと感じます。

では、どうしたらいいのか?これから進路を選ぶ中学生、小学生の子どもを持つ親として考えてみました。

1.大手企業だけにこだわらない

世間に与える影響、収入、福利厚生などの面で大手が魅力的なのは分かります。でも、日本の企業全体に占める大企業はわずか3%。さらに大手企業となるともっと少なくなります。

本の中では入社後も学歴によって区別される会社があることが紹介されていましたが、ずっと学歴がついてまわる環境で何十年も働いていきたいのか?を考えることも大切だと思います。

中小企業なら学歴に関係なく入社、活躍できる可能性は高くなります。

きれいごとだと思う人もいるかもしれませんが、私自身、少人数の会社でしか働いたことがなく、大変な面はもちろん、いい面も実感していることに加え、中小企業勤務の父に経済的な苦労なく育ててもらったこと、とても家族的な職場で子どもの頃から父の会社の方たちと家族ぐるみのおつき合いをしてきたことなど、悪いイメージがないことも大きいです。

いわゆるブラック企業が多いから、中小ではなく大手に行きたいという意見も聞きます。でも、入る前からそれを恐れるよりも、数ある中小企業の中で自分に合ういい会社を見つける可能性を大事にした方がいいのではないでしょうか。

2.「どんな仕事をしたいか」だけでなく「どんな生き方をしたいのか」を考えさせる

以前、娘さんを中学受験させたいという方が「それなりの大学に行かなければ、今は(フィルターがあって)就活に参加することすらできないじゃないですか」とおっしゃっていました。

その時、違和感を感じたのは、私がフリーランスだということもあると思いますが、子どもが小学生のうちから「仕事する=大手企業に入ること」と決めてしまうんだなと思ったからです。

もちろん、子どもが将来、大手企業で働きたいと思った時のために準備するという考え方もあるのでしょうが、それで子どもの小学校高学年以降の生活を決めてしまっていいのだろうかと。

今回、この本を読んで感じたのは、正直、わが子には大学に入った時点である程度勝負が決まってしまい、後から挽回がしにくい世界ではなく、本当の意味で平等な世界で自信を持って生きていって欲しいということです。

今は学歴によってチャンスが減ってしまう世の中でもあるけれど、多様な仕事や働き方が選べる世の中でもあります。

だからこそ「どこの会社に入りたい?」ではなく「どんな仕事をしたい?」、もっと言えば「どんなことをして暮らせれば幸せ?」を問いかけ、考えさせていきたいなと。

最近、考え始めていたことではありますが、この本を読んで改めて「多様な生き方、選択肢があること」を伝えていきたいと思いました。

タイトルとURLをコピーしました