今日までに3名のインタビューを掲載することができました。
その中でも新保緩美さんの「ハンドメイド教室主宰」という肩書きは、大学に行くべき?行かない選択もあり?を考える中学生、高校生にとってはあまり身近でないかもしれません。
でも、新保さんの経歴は、進路の選び方、仕事の選び方、女性の働き方などを考える上で、知っておくといいことがたくさんあると思ったのでインタビューさせていただいたのです。
私が注目したポイントを書いてみたいと思います。
ポイント1:学校のランクでその後が決まるわけではない
自分の実力よりも偏差値が低い高校に進学したことで、学年上位の成績が取れるようになったという新保さん。そこで「私って勉強できるかも!」と自信がつき、勉強が楽しくなったそうです。
勉強ができない、自分は勉強が好きじゃないと思っていた人も、環境次第で変われるわけです。しかも、いわゆる進学校などでまわりが勉強熱心だったから刺激を受けたわけではないというのも面白いところ。
親はつい「ワンランクでもレベルの高い学校に行った方が、その子のためになる」と思ってしまいがちですが、こういうパターンもあるということです。
しかも、そのおかげで「中3の時には受験すらしなかったレベルの高校」に通っていた人が進学するような短大に推薦で入学できたわけです。
新保さんもこの経験から「学歴って何だろうと思った」と話しているように、高校、大学のレベルに一喜一憂することに意味がないと気づかされます。
ポイント2:好きなこと=仕事とは限らない
新保さんは今、趣味は仕事と言えるぐらい仕事が楽しいそうです。でも、短大時代はやりたい仕事がなく、早く専業主婦になりたかったのだとか。
ところがシングルマザーとなり、子どもとの時間を優先して始めたのがハンドメイドの仕事でした。手芸なども全然得意じゃなかったそうです。
自分がやりたい仕事が必ずしも中学、高校、大学時代に見つかるわけではないし、そもそも中学〜大学時代に自分が知っている職業なんて限られています。新保さんのように「自分が納得した働き方」を探す中で、天職に出会えるかもしれません。
また、学生の時は、仕事=自分がやりたいことができる会社に入る、と考えてしまいがちですが、やりたいことを実現できるのは会社とは限りません。
若いうちから自分のやりたいこと、好きなことを考え続けることはとても大切ですが、高校、大学、新卒就職という一般的なコースの中で、慌てて決めなくてもいいのです。
ポイント3:中学生になっても子どもとの時間を大切にしている
「2019年卒マイナビ大学生就職意識調査」によると、今の大学生の就職観は、
1位「楽しく働きたい」
2位「個人の生活と仕事を両立させたい」
だそうです。
また、他の調査でも共働きや結婚・出産後も仕事を続けることを希望する人が増えていることからも、就職の際、会社の子育て支援制度を重視する人が増えるのは当然と言えます。
私も2人の子どもを0歳から保育園に預けて仕事を続けてきたので、まわりには企業に勤めるワーキングマザーがたくさんいます。育児休暇はもちろん、時短勤務などを利用して仕事を続ける姿を間近で見てきました。
でも、時短勤務の多くが、小学校入学や小学校低学年で終わってしまいます。子育てとの両立というと、「赤ちゃんを保育園に預けて働く」というイメージがあり、確かに赤ちゃんから小学校1年生ぐらいまでは手がかかるのも本当です。
では小学校に入れば、もう仕事をフルでできるのかというと、そんなことはありません。確かに「お世話」はしなくていいし、1人で留守番もできるようになりますが、小学校、中学校、高校は勉強につまづいたり、進路に悩んだり、友達とのトラブルがあったり、不登校のようなはっきりした形に表れなくても「見守る」「寄り添う」ことがいっそう大切だと感じます。
また、子どもが部活や塾で忙しかったりするので、忙しく働く親と子が接する時間を取るのも大変です。
この時期こそ、子どもと色々な話をする時間の大切さを感じるので、新保さんが小学校の時期に子どもとの時間を優先して起業したことに、とても共感できるのです。
決して「子育て支援の充実した企業に入っても意味がないよ」と言いたいわけではなく、長い目で見ると、理想の働き方は1つではないということです。