偏差値や学歴で判断する意味ってなんだろう?
–中学、高校時代はどんなふうに過ごしましたか?
中学は器械体操部の活動が楽しくて、本当に勉強しなかったです。だから、高校は偏差値でいうとかなり低い所 にしか行けませんでした。
高校は県立高校でした。レベルを落として受験したこともあって、入学後はクラスで上位になったんです。「あ ら?私、全然成績悪くないじゃん」と勘違いして(笑)、逆にそこから勉強するようになりました。
おかげで高校では成績が良かったので、推薦で短大に行くことができたんです。そして入学してみたら、自分の 行っていた高校よりレベルがかなり上の高校から来ている人がたくさんいて。偏差値でいうと10ぐらい上だっ たんですよ。
その時、初めて「偏差値とか学歴ってなんなんだろう?」と。それで判断することに、本当に意味があるんだ ろうかと思ったのを覚えています。
でも、就職で初めて「学歴」の壁にぶつかったんです。
就職活動で経験した“学歴フィルター”
–どんなことがあったんですか?
私が就職活動をした年は、バブル崩壊後、採用数を減らし始めた時期でした。 当時は企業の情報を郵送してもらっていた時代でしたが、資料請求しても送ってもらえないんです。今で言う“学歴フィルター”ですよね。
それでも大手企業の事務に採用されて、自分の夢だった“自社ビルで社員食堂がある会社でOLになる”という夢を叶えることができました。
今の自分からは想像できませんが、当時は何をやりたいとかいう思いが全然なくて、早く専業主婦になりたい と思っていたんです。
–入社後は学歴に関して感じることはありましたか?
学歴で差別されるようなことはなかったです。事務で採用されたのは7人でしたが、違う職種の同期には名だた る大学や大学院卒の人もたくさんいて驚きました。出身大学で会社が決まるわけではなく、職種次第なんだな と。
働いてからは、学歴=仕事ができる、じゃないんだということも強く感じました。
学歴や資格よりも大切なもの
私の場合は入社後数カ月で、全く経験がないのに子会社の経理を任されたんです。徹底的に指導していただき、 仕事を覚えることができました。
当時は朝6時半に家を出て、誰よりも早く出勤する生活だったので、体力的に限界を感じて3年で退職してしま ったのですが、人には本当に恵まれました。20年以上前に辞めた会社ですが、その時の専務とは今でも年賀状 をやりとりをしているほどです。
–その後はどんな仕事をしたのですか?
25歳で結婚するまで3社で働きました。転職活動で感じたのは、私の場合、面接で評価していただいて採用されるケースが多いということです。60倍の倍率で採用されたこともありました。
そして、一番役立ったのは前職での経理の経験です。結婚後は子育て中心の生活でしたが、次女が幼稚園生の時 に離婚して2人の子どもを育てていかなければいけなくなりました。その時、ブランクもある上、簿記の資格を持っているわけでもないのに採用してもらえたんです。
そう考えると、学歴でも資格の有無でもなく、強みにできるような仕事の経験が一番大切だと思います。
経理からハンドメイドの道に進んだ理由
–経理から現在のようにハンドメイド教室を開くことになったわけですが、きっかけは?
当時、勤めていた税理士事務所では子どもの病気などを理由に遅刻や欠席をすることは認めてもらえなかったんです。
それで子どもがいても続けられる仕事をしようと決めて、習い事の情報誌で見つけたのがハンドメイドやセラ ピーのジャンルでした。
たくさんある中から、自分が好きなことよりも人がやっていないこと、競合相手がいないことを重視して見つ けたのが、紙で作るバラのアクセサリー「ロザフィ」です。まだ、住んでいる千葉にはそんなに教室がなかった んです。
ロザフィの教室に通うために、勤めていた税理士事務所を辞め、企業に経理として転職しました。
我ながらすごいと思うのですが、この会社の面接で「教室に通いたいので、週5働ける人が欲しいなら私は採用 しないでください」って言ったんですよ(笑)。それなのに社長さんが採用してくれた。辞める時も今もずっと応援してくださっていて、本当に人に恵まれてきたと思います。
インタビュー2に続く
新保さんのホームページ
※文章中の情報は、すべて取材時のものです。